54人が本棚に入れています
本棚に追加
瞳美がどこまで気付いているかは知らないが、同じように姉さんたちにふんわりと守られている。
“お姉さまがたのペットであるストックが瞳美の番犬”──こう見られるだけでどれほど悪い虫を追い払えるか。
そういう図式なら、女子高生にデレデレしやがって、なんて変な男に陰口をたたかれるのは俺だけで済むし。
こんな政治めいた大人社会のことなんて、まだ瞳美には知って欲しくない。
『まあねえ。ちょっと変態臭いけど、まじめだからいいか』
「変態はよけいだっての。俺、瞳美が若いから好きなんじゃないし」
『はいはい、わかってるって』
人当たりよく振る舞ってはいるが、基本他人に興味のない弟が初めて見せた執着を、姉は微笑ましく見てくれているらしい。
いつ瞳美にネタばらしをするか、というのは非常に悩ましいところではあるが。
.
最初のコメントを投稿しよう!