十二歳、初夏

7/7
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
しかし、あなたに両親がいないことは事実でした。 中学二年生の春になると、あなたは姿を消しました。 「カグヤねー、転校しちゃった」 と富佐子先輩が教えてくれました。 あなたは施設で育ち、裕福な家庭に引き取られてあの学校に入学したそうですね。 しかし、あなたを引き取った『おじいさま』と『おばあさま』が病に倒れて生活が逼迫し、公立の中学に転校したということでした。 それ以後、どのような人生を送ったのか詳細は知りません。 富佐子先輩はやがて別の人と登校するようになり、 私はしだいに彼女と疎遠になりました。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!