十五年を経て

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一週間を終えた金曜日の夜、 冬の寒空の下、疲れで肩を落として帰宅しました。 こたつに潜ってテレビをつけると、着物姿の少女が映っていました。 彼女はうずくまり、 泣くようなそぶりで「会いたい、どうか会わせて」と語っています。 暗闇の中、彼女にだけスポットライトがあたり、 羽根のようなものが空中を舞っていました。 BGMは悲し気なクラシックの音色。 何かの舞台かドラマかな、と番組表を見ようとした時、 テレビの中の少女が立ち上がり、着物の袖を振って踊り出しました。 しばらくすると歌い始め、それが音楽番組なのだと気付きました。 長い袖を振って戦うように踊る少女の気迫に、思わず釘付けになりました。
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