十五年を経て

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やがて彼女はギターを肩から掛け、演奏を始めました。 その左右に、ドラムを叩く男性と、キーボードを弾く女性。 中央で天を見上げて歌い切る少女の声は高く、力強く、鈴の音のように澄んでいました。 曲の最後で少女がカメラ目線になった時、 「あっ」と声を上げました。 私、この子を知ってる。 番組の司会者が 「輝夜(かぐや)の皆さんで『新月の祈り』でした。ありがとうございましたー」 と言ってCMに切り替わった瞬間、 中学一年生の通学路の思い出がよみがえりました。 すぐにスマホで調べてみると、 あなたは『カグヤ。『輝夜』のヴォーカリスト。年齢非公開。 月で王族の姫として育つが、身分違いの恋に落ちた罪で地上に堕とされる。 今でも恋の相手を想っており、少しでも想いが届くよう歌い続けている』 と解説されていました。 二十八歳になっているはずのあなたは、 あの頃より少し大人びただけの十代の少女に見えました。 時の流れ方が、私とは明らかに違うようなのです。
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