十五年を経て

7/22
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
その件以来、私は一人でライブに行き、一人であなたを応援しました。 仲間などいりませんでした。 だって、他人と語り合ったりしなくても、あなたの魅力は充分わかっています。 まだ恋が何かをわかっていないような、背伸びをしていただけの幼稚な頃から、 あなたを知っているんです。 あなたはインタビューの中でよく「運命」という言葉を使っていました。 月で想い人と恋に落ちたのも、地上に堕とされたのも運命。 一度、雑誌の恋愛相談のコーナーにゲストとして呼ばれていましたよね。 相談者が彼氏に浮気されたのも、彼氏が失踪したのも、運命だと答えていました。 あの時、思いました。 あなたは両親がいないという運命を受け入れ、 それを武器に自分のキャラクターを作り上げ、人を魅了している。 しかも十代の頃から。 なんて芯の強い女性だろう。 あなたと再会できたのが運命なら、私にはどんな使命があるのだろう。 そんなことを考えました。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!