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その噂が出回った頃、週刊誌であなたの妊娠が報じられました。
マイクを向けられたあなたは否定しませんでした。
誰の子か?
わかるはずもありません。
だって私は、あなたの友達でも恋人でも親でもない、
ただのファンですから。
痛感しましたよ。
私は、あなたに一歩距離をおかれてしまう狂信者だと。
そうでしょう?
どうして妊娠なんてするの?
あなたは月の姫でしょう、想い人がいるんでしょう?
などと、私がいくら悲しがってもあなたは振り向きもしない。
むしろ、そんなふうに責める私が狂っている、
と世間からは嘲笑されるのでしょうね。
この恋、終わりにしようと決心しました。
叶わないと悟ったからです。
最初からわかっていたはずなのに、何を期待していたのでしょう。
もうあなたをメディアで見られない。
このまま好きでいても耐えられない。
もちろん調べようと思えば、居場所は突き止められるでしょうけど……
いつまでも未練を引きずってしまいそうで。
「月に還った」それを信じよう。
恋を終わらせるために、とことん月設定に付き合ってやろう。
そう言い聞かせて、『竹取物語』を読み返してみました。
恥ずかしながら、おおまかなストーリーしか知らなかったのです。
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