十五年を経て

14/22
前へ
/36ページ
次へ
驚きました。 作中に、中納言石上麻呂(まろ)という人物が登場したのです。 これ、私じゃないですか。 どうして今まで気付かなかったのか。 これこそ運命だと確信しました。 物語では、 石上麻呂はかぐや姫に求婚し、燕が産んだ子安貝を条件に出されます。 しかし、なんとか燕の巣を漁っていると転落し、燕の糞を握ったまま腰を強打します。 その怪我が原因で病床に。 それを知った姫は、お見舞いの歌を麻呂に贈ります。 麻呂は、想い続けた甲斐があったと詠んで亡くなります。 他人事とは思えません。 (私の親はこれを知っていてマロなんて名前をつけたのでしょうか……、 それはさておき) 私はあなたに子安貝を贈ることにしました。 子安貝は、別称を宝貝といい、奇しくも安産のお守りとされます。 宮崎県に、浜辺で拾った宝貝をお供えすると願いが叶うという神社があります。 燕が産んだ貝ではないですが、そこは大目に見てください。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加