十五年を経て

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さっそく、その神社に参りました。 私自身のことはお願いしません。 あなたが月で平穏に暮らせるよう願いを込めて、 あなたに贈るつもりで、宝貝をお供えしました。 それを、この恋の餞別としました。 ところが東京へ帰る途中、駅の階段で足を踏み外して転落しました。 立ち上がれずに救急車を呼んでもらい 、腰椎骨折、左踵骨折と診断されて手術を受けました。 こうなるとやはり名前の呪いかと訝ってしまいます。 術後、麻酔が切れた時や、看護師さんに体を動かされた時の痛みは本当にきついものでした。 寝返りさえままならないのです。 当たり前に出来ていたことが難しくなると、ただ生きている奇跡に気付かされます。 そして、あなたと出会えた奇跡にも。 感謝が溢れると、やはりあなたが愛しくなります。
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