十五年を経て

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「ありがとうございました、あの……」 先輩ですよね? と続けようとしましたが、 あなたは扉のほうに顔を向けたまま、いつまでも振り返りませんでした。 私は、あなたが用意してくれた席に座りました。 それが、今座って手紙を書いている場所です。 快速電車、六両目、前から二番目の扉付近、向かって右側の窓際の座席。 やがて駅に着き、あなたは降りていきました。
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