第一次系外惑星移民船団出立式典演説全文

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人類の強さ。それは何でしょうか。この地上で、人類がここまで生き延びてこられたのは何故でしょうか。 私は、信じる力だと考えています。どんなに絶望的な状況でも、未来を信じ歩み続ける力。その強固な意志こそが、明日を切り拓くのです。種としての生存本能を超えた生きるという意志。それこそが、人類の希望なのです。 だからこそ、この惑星を滅ぼすことになっても、我々は進み続けなければならない。 子が親を踏み台にしてでも親を超えていくように、人類は母なる地球を犠牲にしてでも歩み続けなければならない。 今の人類に、破壊し尽くされた地球の環境を回復する術はありません。青い地球を取り戻す力はありません。それでは、人類を生み出した奇跡の惑星に我々ができることは何でしょうか。 多くの恵みを与えてくれた母なる惑星に対して我々人類がすべきお返しは、滅びゆくこの惑星に留まり続けることでしょうか。共に死を迎えることでしょうか。 いいえ、そうではないはずです。 人類を育ててきたこの惑星から旅立つ。そして宇宙に広がる。人類が生き続ける。 今だからこそ、自信を持って言うことができます。生きていくことがこそが、最高のお返しなのだと。 母なる惑星から授かった生命を、未来に託しましょう。そのための明日を、共に切り拓いていきましょう。 今日この日、人類は新天地を目指して旅立ちます。新たなる船出が、未来に繋がるものと信じて。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 西暦3015年2月4日 地球連合本部にて
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