山道

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山道

「ねぇ~ここはどこら辺なの?」と麗子は少しイラ付いて居た。 「どうも、山道でハマっちゃったみたいだなぁ~?」と義男も少しイラ付いて居た。 「カーナビも全然ダメだよ、スマホも圏外だしぃ!」麗子のイラ付きは増して居た。 「でもよ~道路は舗装されてるし、ガードレールも有るし、街灯もチラホラだけどあるから、市道か村道じゃ無いかなぁ?」と少し麗子を安心させる義男。 でも、義男と麗子のワゴンは闇夜の山道をどこに向かっているのかさえわからず走って居た。 「麗子カーラジオ入れてみ!」と義男が麗子に催促をした。 麗子はカーラジオのスイッチを押した。        『ガーピーザー』 「なんだよ、ラジオも入らない僻地かよ、まったく」尚更イラつく義男! 「ねぇ・・・なんか・・・おかしく無い?」と不安がる麗子! 「何が?」と怪訝な顔の義男! 「さっきから同じ所を回ってる気がするんだけど?」 「いや、それは無いよなぁ~~道は真っ直ぐ一本道だぜ!」 「だって、あの街路樹・・・さっきと変わって無いと思うんだけど?」麗子は街路樹を指指した。 「山道の街路樹なんか全部同じっしょ!」と義男は麗子の言葉を遮った。 「だいたい、今何時なんだよ?」 「車の時計はさっきから1時で止まったままだし」 「私の腕時計も1時で止まったままだよ、義男の腕時計は?」 「アレ、俺も止まったままだ!」 「ねぇ引き返した方がいいんじゃない?」 「だってもう2時間近く走って居るよ」麗子は不安な声で義男に言った。 「・・・そうするか!」と義男。 義男は車を停めて方向転換をした。 「よっしゃ、これであの村の食堂迄帰れるなぁ~」 「そうだよ、あの村迄帰って、朝が来たらもう一回地図を見てやり直そうよ」二人は少しだけ安心をした。 「何?なんなの?」 「なんだって言うんだよ?」 「もう、3時間近く走って居るのに村には着かないってどうゆ事だよ?」 「かれこれ5時間は走って居るよ、義男!」 「朝日が昇っても、おかしく無いんだけど?」 ●●街道▲▲地区で昨夜午前1時頃に男女二人を乗せたワゴン車がガードレールを超えて谷底に落ちた模様、乗って居たのは、県警の調べで、田辺義男さん(23歳)山崎麗子さん(22歳)と免許証から判明、二人は即死した模様、県警は事故原因を調査中。◯◯日報新聞。 義男と、麗子は永遠に暗い夜道を走って居る。 自分達が崖から落ちて死亡したのもわからず永遠に!        ー END ー
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