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「ヘルニア…ねぇ。じゃあ、膠原病などの検査は?」
「うちでは検査自体ができませんから。内科と整形外科から持ってきてもらった情報を診てはいますけど、こんな田舎じゃ膠原病やリウマチ、難病の専門医なんていませんよ。
ただ、本人はなんとかって病気じゃないかって、何度か訴えてきたんですけど、私も知らない病名で」
「知らない病名?うーん……」
神藤は再びカルテを見ながらため息を吐く。
腕時計をちらりと見た後、神藤は再び前園に視線を向けた。
「少し時間は早いが…話をしてみてもいいかな?」
そう訊くと、前園はただ黙って頷いた。
もう自分ではどうにもできない事を認めているようだった。
自ら立ち上がり、患者を呼びに行くと、先ほどの女性を連れて戻ってきた。
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