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少女は額に手を当て、ため息を吐いた後、ぎこちなく首を左右にひねった。
それは肩が凝った時に神藤もやる行動だった。
「肩が凝ってる?」
神藤がそう訊くと、少女は顔を上げた。
「いつも…目の奥が焼けるように痛いんです。それから…首と肩……」
「できるだけ早く検査をした方がよさそうだ。知り合いの専門医に相談してみよう」
神藤が前園を振り返ると、その視線に気づいた前園はハッとして立ち上がった。
「すぐに紹介状を書きますっ!」
その後、少女はまた大粒の涙を流す。
「辛かったね。予約を取るのに少し時間が必要かもしれない。仕事は休めそうかい?」
その質問に少女は首を横に振った。
「きっと無理です……。こんな調子で、今の職場だけでもう3回も長期休暇もらってるので……」
よくある事とは言え、いたたまれない気持ちになった神藤はため息を吐いた。
病名のない症状に対して、人間は疑いの目で見てしまう。
例えそれが真実だとしても、頻繁に休みを取る人間を必要とする会社は無い。
「今はとにかく、なんの病気なのか知る事が優先だ。いいね?頑張れるね?」
そう訊くと、彼女は泣きながら頷いた。
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