696人が本棚に入れています
本棚に追加
そこには白衣を着た美青年が立っていた。
韓流ドラマで主人公を演じてそうなきれいな顔立ち。
その微笑みにうっとりする女性たちの視線が神藤を動揺させる。
「やあ、詩音くん。悪かったね…忙しいのに」
神藤も立ち上がると、二人の視線の高さが合った。
「とんでもありません。他でもない神藤先生の頼みですから」
そう言いながら待合室を見回し、自販機を指差した。
「コーヒーでもどうですか?」
そう訊かれ、神藤は苦笑いを浮かべた。
「もうすぐ待ち人が来ると思うんだ。今は遠慮しておくよ」
「そうですか。じゃあ…待ち人が来るまで、お隣いいですか?」
神藤は周囲を見回し、また苦笑いを浮かべる。
「ここで君と二人になると、いたたまれないんだが……」
そうは言ってみたが、神藤は椅子に座り、その隣に置いてあったカバンを移動させ、足元に置いた。
最初のコメントを投稿しよう!