死を願う少女

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出入り口の自動ドアから二人の女性が入ってくると、背中を丸めた少女が神藤の前で頭を下げた。 「先生…お待たせしてすみません。それから…ありがとうございます」 今日もやはり体調の悪そうな少女を見て、神藤は席を譲った。 「とりあえず座って。受付を……」 そう言うと同時、同伴の女性がバッグから財布を取り出し、受付へと向かった。 「すみません、初めての受診なんですけど」 そう言いながら保険証を提示している。 少女と同じくらいの年齢だろうか。 背は高く、背筋もピンと伸び、スポーツでもやっているのかな…と、思わせる体型。 手足は長く、細すぎず太過ぎずなスタイルはモデルも嫉妬しそうだ。 顔だけ見ればどこにでもいそうな感じもするが、そのスタイルは稀に見るものに違いない。 受付カウンターの向こうにいる事務員が視線を上げるだけじゃ足りず、首を持ち上げているのを見ればその身長差は一目瞭然だった。 それとは反対に、椅子に座った少女はバッグを枕代わりにして、椅子の上に丸くなる。
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