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「ここにくるバスの中でも痛くてじっとしてられなかったみたいで…大変だったんですよ」
虚ろな瞳でチェックシートに記入している彩羽を横目に、葉月はため息を吐く。
「すぐには病名は分かんないですよね?」
その質問に、神藤は首を傾げた。
「どうかな…検査結果に分かりやすい結果が出ているなら病名は出るだろうけど、これまでいろんな病院で診てもらっても病名が出なかったって事は、今日は難しいんじゃないかな?」
「そうですか……」
葉月はまた、彩羽を見ながら憂鬱な表情を浮かべる。
もう、長い間こうやって辛そうな彩羽を間近で見てきたのだろう。心配しているのが分かった。
彩羽がチェックシートを書き終えると、葉月がそれを受付に出しに行った。
初診のアンケート用紙かと思いきや、その枚数は8枚を超える。
主に痛みに関するチェックシートだった。
しばらくして彩羽の名前が呼ばれ、別室へと案内されて行った。
待ち合い室で神藤と葉月はその後ろ姿を見送りながら、ため息を吐いた。
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