死を願う少女

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「いつから痛みを訴えてるのかな?」 神藤が葉月に訊くと、葉月は遠い過去を振り返りながら目を細めた。 「物心ついた時には、いつも頭が痛いって言ってましたね。母親も頭痛持ちだったから、恐らく片頭痛だろうって放っておいたみたいで。 でも、そのうち身体がだるいとか、だるいを通り越して痛くて動けないとか…ちょっと理解できない事を言うようになって」 「痛くて動けないって言うのは…全身?」 「本人が言うには。でも、その直前まで普通に学校に行ってたり、仕事してたりするんですよ。辛い、辛いって言いながら、出勤するといつも通り動いてたりとか。 だから、誰もあの子が言うこと信じないんです。 さっきまで普通に歩き回ってた人間が、帰ってきた途端、身体が痛くて動けないとか…信用できないでしょ……」 しかし、彩羽の問題はそれだけじゃない…と、葉月は語りだした。 「父親が暴力的な人で…高校生になった頃からあの子は心が病んでいって……。だから…心身症なんじゃないかって精神科で言われた時、なるほどなって私は思ったんです。 あの環境じゃ、そうなっても仕方ないかなって」
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