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『すぐに向かいます』
受話器の向こうでその言葉が聞こえた後、間もなく電話はぷつりと切れた。
その後、神藤は自宅に電話を掛けた。
神藤の自宅には赤の他人ではあるが、かなりお世話になっている女性が同居している。
家の事などを一切任せているが、結婚しているわけでもないし、交際しているわけでもない。内縁の妻というわけでもない女性が。
別にお手伝いさんというわけでもない。
ただ、一緒に住んでいるだけ。
「あ、登季子さん?」
『あらあら先生、どうなさったんです?』
受話器の向こうから聞こえる声はどこか浮かれている。今日は機嫌がよさそうだな…と、思いながら、神藤は二人の女性が自宅に泊まる事を告げた。
『まあ…久しぶりのお客様ですね。じゃあ、夕飯用意しなきゃ』
登季子さんはそれ以上話を聞こうとはせず、こちらもぷつりと電話を切られた。
誰を見ても本当に自由な人たちだ…と、思いながら、神藤はまた院内へと戻った。
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