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「まあ…犯人が捕まって、殺した動機が分かっても彩香は戻ってこないからな。
正直なところ…犯人が捕まる事を恐れている自分もいる。私自身…何をしでかすか分からないからな」
「ですよね」
こんな未来が待っていると分かっていれば、もっと大切にしてやれたかもしれない。
もっと愛してやれたかもしれない。
当たり前の毎日を大切に生きて来れたかもしれないのに……。
人は失ってから気付く。
そして、失うまで気付かない。
当たり前にそこに存在していると思ってしまう。
「野本くんの事は五十嵐くんに頼むよ。私はそばにいてやれないから」
神藤はそう言った後、携帯で時間を確認した。
受付を済ませてからもう2時間以上が経っていた。
「ところで、私に用事とは何だい?」
神藤に訊かれ、五十嵐も本題を思い出した。
「実は事件がありまして。裸の女性の遺体が廃墟で見つかったんです。でも、その女性が着てたと思われる服が別の場所から発見されて……」
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