死を願う少女

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「服と遺体が別々に置かれていたとなると儀式的な物のように思えるが…被害者の年代は?」 「20代ですね。これが発見された服です」 五十嵐が上着の内ポケットから数枚の写真を取り出した。 同時に神藤も内ポケットから老眼鏡を取り出し、眼鏡を外して老眼鏡を掛けると写真をマジマジと見た。 そこには白いフリルブラウスにベージュのハイウエストのワイドパンツが映し出されている。下着も脱がされていたようだ。他には靴が写っていた。 「素っ裸って事かな?」 「ですね。身体中に無数の刺し傷や切り傷がありました。あと、根性焼きみたいな…タバコを押し付けたような(あと)もあって」 「最近のものかい?」 「できたばかりです」 別の写真を見れば、遺体の皮膚表面が映し出されていた。 ぱっくりと開いた傷口が無数にあり、ところどころ丸い点のように黒っぽく変色した痕がある。 「この写真だけ見ると怨恨の線が濃いな。なんで服を別の場所に捨てたりしたんだろう……」 神藤がつぶやくと、五十嵐も首を傾げながら呻いて見せる。
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