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「服を見ても特に特徴が無いんですよ。どこにでも売っている…というか。別にブランド物でもないですし」
それを聞いて、神藤はハッとした。
「専門家が中にいるぞ」
思わず院内に視線を向けてそうつぶやくと、五十嵐も眉間にしわを寄せながら神藤と同じ方角へ視線を向ける。
院内の窓から葉月と目が合った神藤は、笑顔を作って見せた。
「洋服の販売をしているらしい。少し話を聞いてみるかい?」
そう訊ねると、五十嵐は曖昧に首を傾げていた。
一般人に捜査内容を教える事になる…と、思ったようだ。
「少しでも情報が欲しいんだろう?」
「いや…しかし」
渋っている五十嵐を横目に、神藤は軽く葉月を手招きした。
院内で彩羽に付き添っていた葉月だったが、ちょうど彩羽も名前を呼ばれたようだ。
よろよろと立ち上がった彩羽が診察室に入って行くと、葉月も外へやってきた。
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