死を願う少女

19/23
696人が本棚に入れています
本棚に追加
/387ページ
「服を見ても特に特徴が無いんですよ。どこにでも売っている…というか。別にブランド物でもないですし」 それを聞いて、神藤はハッとした。 「専門家が中にいるぞ」 思わず院内に視線を向けてそうつぶやくと、五十嵐も眉間にしわを寄せながら神藤と同じ方角へ視線を向ける。 院内の窓から葉月と目が合った神藤は、笑顔を作って見せた。 「洋服の販売をしているらしい。少し話を聞いてみるかい?」 そう訊ねると、五十嵐は曖昧に首を傾げていた。 一般人に捜査内容を教える事になる…と、思ったようだ。 「少しでも情報が欲しいんだろう?」 「いや…しかし」 渋っている五十嵐を横目に、神藤は軽く葉月を手招きした。 院内で彩羽に付き添っていた葉月だったが、ちょうど彩羽も名前を呼ばれたようだ。 よろよろと立ち上がった彩羽が診察室に入って行くと、葉月も外へやってきた。
/387ページ

最初のコメントを投稿しよう!