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「あの…どうしました?」
自動ドアを抜けて駆けてきた葉月が神藤の前で立ち止まると、その隣に立っている五十嵐に頭を下げる。
「どうも……」
なんとなく頭を下げてみたが、自己紹介すべき相手なのかどうか、よく分からなかった。
「こちら、警察の五十嵐くんだ。で、こっちは槇原葉月さん」
警察…と、言われると人間は反射的に身構えてしまう。
別に悪い事をしていなくても、無意識に何かしでかしたのではないか…と、不安に駆られるようだ。
葉月も例外ではなかった。
しかし、神藤はそんなことお構いなしで話を進めていく。
「たまに私も警察のお手伝いをしているんだよ。で、葉月くんは服の専門家だろう?ちょっと聞きたい事があって」
「服の専門家って…ただ販売してるだけですよ?」
そう言いながらも捜査の協力となれば好奇心がくすぐられる。
葉月は神藤に歩み寄り、その手から1枚の写真を受け取った。
そこに映っていたのは衣服だ。
「まあ…今年の春、流行りのコーディネートかもしれませんね。20代から30代くらいの女性ですか?」
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