不治の病

2/18
696人が本棚に入れています
本棚に追加
/387ページ
モニターには彩羽のレントゲン写真や、先ほど看護師と話した病歴の内容などが記載されており、それらを細かくチェックしているようだった。 医師は病歴などをチェックした後、レントゲン写真を見て唸り声を上げた。 「なるほどね」そう言った後、彼は彩羽に向き直った。 「担当の(たいら)です。よろしくお願いします」 横顔を見ていても思ったのだが、正面から見ると更に端正な顔立ちをしている医師を前に、彩羽はため息を吐いてしまった。 「痛いですよね。申し訳ないんですけど、これから触診していくので、痛かったら痛いって言ってください」 平と名乗った医師は、彩羽の前に両手の甲を出すと、同じように両手を出すよう指示した。 彩羽が両手の甲を見せると、その手をまじまじと見つめ、親指の腹で優しく押しながらチェックしていく。 指先から始まり、そのまま腕、肩、首、顔。 目の状態と喉をチェックした後、再び肩から胸、腹へと指で押していく。 その後も診察台に横たわり、足の指までくまなくチェックをしていくと、彩羽は股関節と腰、肩関節など、6か所くらいに痛みを感じた。
/387ページ

最初のコメントを投稿しよう!