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不治の病
「槇原彩羽さーん。1番の診察室にお入りくださーい」
病院に来てから4時間近くが経過しようとしていた。
彩羽の名前が呼ばれ、よろよろと立ち上がるその身体を葉月は支えながら、診察室へと見送った。
待ち合い室には減ることなく患者がひしめき合っている。
2席程しか椅子は空いていない中、患者たちは自分の名前が呼ばれるのを待っていた。
診察室に入った彩羽は看護師から椅子を勧められた。
「胸見ますから、服めくりやすいように準備してください。あと、靴下脱いでくださいね」
そう言われ、椅子に座ったと同時に靴下を脱ぎ、荷物置きの籠にカバンと靴下を入れた。
身体中に走る痛みのせいで背筋をピンと伸ばす事もできず、身体も絶えず前後左右に揺れてしまう。
10分ほどして男性が診察室に入って来た。
パタパタとスリッパの音を響かせながら、
「お待たせしました」
と、彩羽の正面の椅子に腰を下ろし、パソコンのモニターとにらめっこを始めた。
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