プロローグ ここは殺しアイランドさ!

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 頭の中で様々な恐怖が文字となって暴れる。  それらが恐怖を風船のように膨らませていく。  恐怖に耐えられなくなった俺は、壁を殴って蹴った。床を踏みつけた。踏み潰した。  足と手が痛くなったことで壁に対して腹が立った。だから思い切り唾を吐いてやった。  3回目の唾を吐きかけたところで、自分のしていることにようやく恥ずかしさを感じた。     とりあえず落ち着け俺。そう、いつも通りに深呼吸。  吸って、吐いて。吸って、吐いて。吸って──ダメだ! こんなんで落ち着けるわけがない!    「誰かいないのかよ!!」  俺は叫んだ。泣きそうな声だった。別に、誰かからの返事を求めたものじゃない。  とにかく、波の音しか聞こえないこの状態が嫌だった。  実際誰からも返事がなくて意味のない行為になったが、精神に対して多少の効果はあった気がする。こんな状況だと自分の声でも聞くと安心するものだ。  何も出来ないし、何もすることもない。ただ立っていることしか出来ない。    どれだけ壁に寄りかかっていたか分からないが、いつの間にか波の音に耳が慣れていた。  薄暗いこの部屋も、見慣れてしまった。      
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