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1 殺人犯12人集めてみた
1.
なんの音だろう。遠くから何か、とても安らぐ音がする。
ポカポカしていてとても気持ちが──ここは、どこだ?
二度寝をしようと閉じかけた俺の瞳になんと、海が飛び込んできた。
ベッドだと思っていたものは芝生で、空からは何にも邪魔されない太陽の光が海を強く輝かせている。
俺は夢でも見ているのか? ここは俺の部屋のはずなのに、どうみても島だ。
何かを確かめるようにして芝生の上に立ち上がる。
こういう時は目を閉じて深呼吸をしよう。そうすれば夢から覚める。
吸って、吐いて。吸って、吐いて。吸って……
深呼吸をしていると、何かを思い出しそうになった。
だがそれはきっと、今はどうでも良いことだろう。
なぜならこの島の人間を発見したからだ。
向こうの砂浜に人が集まっている。
あそこには1、2、3……11人いる。男、女。大人に子供。
あそこで彼らが何をしているのかは分からない。
だがあの人たちに話を聞けば、どうして俺がここにいるのかが分かる。
そんな気がした。
すぐに彼らの元へ走り出したが、彼らの姿が鮮明になるにつれて、走る俺の足は減速する。
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