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この爽やか野郎は、教室でうるさい俺の苦手なタイプの人間かもしれない。
けれどこいつの見た目は嫌なやつではない。
「俺はさっき向こうの芝生の上で目が覚めたんだ。だけどこの島に来るまでの記憶がない。だからどうしてここにいるのか分からない。だって俺はさっきまで──」
スーツの女性「家で寝ていた──でしょ?ここにいる全員があなたと同じことを経験済みよ」
「なら、みなさんはどうしてこの浜辺に集まっているんですか? この島から出ようとしないんですか?」
俺はみなさんと言いながら、そのスーツを着た短髪の黒髪の女性に尋ねた。
スーツの女性「これよ」
そう言って彼女はスーツの胸ポケットから、黄色のメモ用紙を取り出した。
そんな彼女を見て他の人たちもそのメモ用紙を取り出す。
スーツの女性「多分あなたも持っているはずよ」
俺には胸ポケットがないので、ズボンのポケットに手を入れた。
まさかあるわけがないと思っていたのだが、紙のようなものが手に当たりゾッとする。
それが紙だと確信した時は呼吸が止まりかけた。
なんだか幽霊を見てしまったような気分だ。気味が悪い。
だがこれが例の黄色のメモ用紙だとは限らない。
も、もしかしたらレシートかもしれないだろ?
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