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「じゃっ!レッツゴー!」
拳を突き上げて魔法陣を展開させるルナ。
「………魔界…魔界、ねぇ…」
気合いの入ったルナの声が耳に入らず、ずっと俯いて何かを呟いているシュルトに、彼が声を掛ける。
「おやぁ?何か思うところがぁ?」
「…………まぁ、ね」
自分から話をかけたにも関わらず、リューゲはかなり驚いたらしい。
彼が普段、リューゲを無視しているからなのだが…
「珍しいですねぇ、私に返答するとはぁ」
「……トラオムのことは感謝しとく。」
「あぁ…いえ、トラオム様があんなことを仰っては、私の面目も失われますし」
悲しげな、優しさを感じる表情で、彼は魔法陣の中を見つめる。
「ふぅん…まぁでも、ボク達がいるし、そのへんは安心しとば」
「そうですかそうですか!ではぁ、貴方様の記憶についても、安心しておいてよろしいですかぁ?」
「…………なんだって?」
「よし、飛ぶよー!転送!!!」
その時一瞬、とてつもない殺気がその部屋を埋め尽くした。
しかし、それはルナの魔法の発動によって、誰にも気付かれずに消え去った。
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