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一方、第58国に向かったのはクラヴィスとトラオム。
「ふぅ、兄さん達も上手くやってるみたいだね」
「兄ちゃん、この人達弱いね」
「ん?あぁ、ほら、力が強い者は権力が強い者を守る使命があるからね」
わかりやすく、的確な説明。
しかし嫌味と皮肉を含めた言い方は彼の性格のせいか、はたまた彼の魔界への憎しみが生んだものなのか…
「…まるで人間みたいだ。自分は助かりたいから弱い者を見殺しにする」
「その通りだよトラオム。全く無価値な存在さ。
人を喰らうモノのクセに、人らしいことをする。」
「…あ、そろそろ時間?」
「あぁ、そうだね。行こうか」
クラヴィスが合図をすると、トラオムは立ち上がった。
「そっか……
………ははっ、ははははっ!!今日は何人、殺せるかなー?」
狂い出したかのように、否、狂い出したトラオムは彼らを守るはずの防壁の上から誰を最初の犠牲にするかを考えていた。
「…早く来ないと、皆殺しになってしまうよ?」
クラヴィスは本当の獲物を見据え、笑を零した。
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