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「………嘆きが、聞こえます…」
黒い女性が魔界の上空で呟いた。
「始まったか。オレ様の魔界で、殺しなんて舐めた真似しやがって」
偉そうに荒野を見下ろす少年がまだ見えない彼らに舌打ちをした。
「……アレフ、貴方の魔界では、ありません…あの御方の…」
「…わかったギメル。さっさと殺しに行くぞ。不老不死の吸血鬼というやつを。」
黒い女性、ギメルの忠実な訂正に偉そうな少年、アレフは軽い謝罪をし、その場から動き出す。
「…………みんな、大丈夫、でしょうか」
「……問題ないだろう…あ…でも、オレ様としてはザインが心配だ」
「あぁ…彼女は、そういう"欲"ですから…」
「敵に惚れて寝返るとかあったら死んでも殺す」
「…それはないと、思うのですが…彼女はちゃらんぽらんに見えて、あの御方への忠誠心は本物ですから…」
ちゃらんぽらん………ギメルが言わなそうな一言に、アレフはその事以外考えられなくなっていた。
……いや、もちろん、本目的は忘れてはいないのだが…
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