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「重力魔法」
ルベルが得意の魔法で数百、数千、もう数えるのが面倒になるほど殺した。
「ぎっ……ぐ…____」
今も一人、家族の、父親の方を殺したところだ。
「……さて」
男の死を確認すると、ルベルは残った母親と子供に手を向ける。
「ひっ…お、お願いします!子供は、子供だけは助けてください…!お願いします…!!」
必死に乞う母親。ソレにルベルは無慈悲だった。無意味だから。
「………………。」
言葉を発さず、ただ目の前の"モノ"に刃をふりかざす。
「……お助け下さい…!お願いします…!」
殺そうとした。……しかし
「______っ?!!」
音もなく何かが飛んできた。いや、音はあったのだが、一瞬すぎて無いように聞こえていた。
飛んできたのは無数の…ナイフ…
飛んできた方向を見ると、そこには人が浮いていたが、ルベルを見るなり地に足を降ろした。
「えー、確か長男クンだよね?マジかよ、俺っちに当たるなんて聞いてないんだがー…」
「お前…七つの…」
軽い。中々軽い態度の青年。
ルベルは彼の正体について心当たりがある。
「おっ、俺っちのこと知ってんの?」
「俺が殺したい奴らの1人だからな」
「え~〜…覚え方がぶっそー…あ、知ってるだろうけど、自己紹介しようぜ!ほらほら、決闘の基本だろ?じゃ、俺っちから…」
と、彼は腕を大袈裟に振り、挨拶の仕草をする。
「……セプテム・ペッカータ・モルターリアの一罪、5番目の大罪、強欲、グリード。俺の認識に間違いはあるか?」
その途中にも関わらず、容赦なくルベルは切り捨てた。
「なんで全部言っちゃうのさーー!!あっ、あとヘーって呼んで!」
「ないな。じゃあ死ね」
と、ごく自然に言葉を吐き、剣を作り出し、さっきのお返しと言わんばかりに、ヘーに飛ばしまくる。彼の言葉を全て無視して。
「うぉぉっ?!直球物騒!大体長男クンがまだ自己紹介してないじゃん!!」
「ルベル。以上。死ね。」
「簡潔!!そして終始物騒だねキミ!」
「ギャーギャーうるさいヤツだな。早く死ね。」
「いやいやいや、そう言われてはい死にますなんて言うひといないから。
それに、この魔界を守らなきゃ行けないからね。」
「………」
ルベルの一方的な殺意は、ヘーの性格とテンションで受け流されてしまう。
「…………ところでルベルくん、1つ提案があるんだけど」
ふと、声のトーンを落ち着かせ、ヘーがルベルに語りかける
「自害か?圧殺か?刺殺か?」
「死に方の問題じゃなくて!……キミ達、魔界に来る気はないかな?」
突然の誘い。
ルベルは殺意を止め、腕を糸が切れた人形のように下ろした。
「…………」
「正直、キミ達が魔界を襲撃する理由なんてないと思ってね。キミ達が壊すべきは、"アイツら"だ。キミ達を作った張本人をね。
あぁ、それとも、"アイツら"の命令でやっているのかい?」
「そんなわけないだろ。アイツらも皆殺しにする。」
「ふむ…尚更わからないね。何故、魔界を?」
へーは興味深そうに、何かを追い求める研究者のように探求を進める。
しかしルベルは、その問い掛けに息を詰まらせていた。
「…何も、知らないのか。」
「ん?」
「いや…(…おかしい…何か…明確な殺意が、あるはずなのに…)」
"明確な殺意"
一体その殺意は何処から、"誰が"、"どんな風に"、与えたものなのだろうか…?
その問は、へーの中ではある程度固まっている。
「……やっぱり…」
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