第2章 魔界

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重力魔法(グラヴィタ)」 ルベルが得意の魔法で数百、数千、もう数えるのが面倒になるほど殺した。 「ぎっ……ぐ…____」 今も一人、家族の、父親の方を殺したところだ。 「……さて」 男の死を確認すると、ルベルは残った母親と子供に手を向ける。 「ひっ…お、お願いします!子供は、子供だけは助けてください…!お願いします…!!」 必死に乞う母親。ソレにルベルは無慈悲だった。無意味だから。 「………………。」 言葉を発さず、ただ目の前の"モノ"に刃をふりかざす。 「……お助け下さい…!お願いします…!」 殺そうとした。……しかし 「______っ?!!」 音もなく何かが飛んできた。いや、音はあったのだが、一瞬すぎて無いように聞こえていた。 飛んできたのは無数の…ナイフ… 飛んできた方向を見ると、そこには人が浮いていたが、ルベルを見るなり地に足を降ろした。 「えー、確か長男クンだよね?マジかよ、俺っちに当たるなんて聞いてないんだがー…」 「お前…七つの…」 軽い。中々軽い態度の青年。 ルベルは彼の正体について心当たりがある。 「おっ、俺っちのこと知ってんの?」 「俺が殺したい奴らの1人だからな」 「え~〜…覚え方がぶっそー…あ、知ってるだろうけど、自己紹介しようぜ!ほらほら、決闘の基本だろ?じゃ、俺っちから…」 と、彼は腕を大袈裟に振り、挨拶の仕草をする。 「……セプテム・ペッカータ・モルターリアの一罪、5番目の大罪、強欲、グリード。俺の認識に間違いはあるか?」 その途中にも関わらず、容赦なくルベルは切り捨てた。 「なんで全部言っちゃうのさーー!!あっ、あとヘーって呼んで!」 「ないな。じゃあ死ね」 と、ごく自然に言葉を吐き、剣を作り出し、さっきのお返しと言わんばかりに、ヘーに飛ばしまくる。彼の言葉を全て無視して。 「うぉぉっ?!直球物騒!大体長男クンがまだ自己紹介してないじゃん!!」 「ルベル。以上。死ね。」 「簡潔!!そして終始物騒だねキミ!」 「ギャーギャーうるさいヤツだな。早く死ね。」 「いやいやいや、そう言われてはい死にますなんて言うひといないから。 それに、この魔界を守らなきゃ行けないからね。」 「………」 ルベルの一方的な殺意は、ヘーの性格とテンションで受け流されてしまう。 「…………ところでルベルくん、1つ提案があるんだけど」 ふと、声のトーンを落ち着かせ、ヘーがルベルに語りかける 「自害か?圧殺か?刺殺か?」 「死に方の問題じゃなくて!……キミ達、魔界に来る気はないかな?」 突然の誘い。 ルベルは殺意を止め、腕を糸が切れた人形のように下ろした。 「…………」 「正直、キミ達が魔界を襲撃する理由なんてないと思ってね。キミ達が壊すべきは、"アイツら"だ。キミ達を作った張本人をね。 あぁ、それとも、"アイツら"の命令でやっているのかい?」 「そんなわけないだろ。アイツらも皆殺しにする。」 「ふむ…尚更わからないね。何故、魔界を?」 へーは興味深そうに、何かを追い求める研究者のように探求を進める。 しかしルベルは、その問い掛けに息を詰まらせていた。 「…何も、知らないのか。」 「ん?」 「いや…(…おかしい…何か…明確な殺意が、あるはずなのに…)」 "明確な殺意" 一体その殺意は何処から、"誰が"、"どんな風に"、与えたものなのだろうか…? その問は、へーの中ではある程度固まっている。 「……やっぱり…」
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