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「まさか、貴方様が吸血鬼になっているとは思いませんでしたよ。」
ルベルがヘーと、クレーベルがザインと交戦する中。
2人は静かに互いを警戒していた。
「…えぇ?初対面だと思うんだけど?」
「…いいえ、私はよく知ってますよ。
我らが第二皇子、カルト・シェナ・ユエレウ・ヘレ・ゼオルタリア殿下。それが、貴方のあるべき姿です。」
白を切るシュルトに、分かっていたかのように彼の元の肩書きを言い並べ始める一人の女性。
へー、ザインと同じ、大罪。
4番目、怠惰。ダレット
「………はは、驚いた。この様を見ても殿下と呼べるのかお前。しかもそれをあるべき姿だって?
_______は、はは、あっははははははは!!あーー、ほんっと面白いな。それ、アイツが聞いたらどんな顔するんだろうなぁ!」
腹を抱え、大爆笑するシュルト。
目から涙を流し、本当に面白いようだ。
「アイツ……?誰のことを…」
「皇帝だよ皇帝。あ、今は元か。
はー…全く…天界と共倒れになってくれると良かったんだけど、サンドルはそこまで馬鹿じゃないもんな」
笑いにより溢れ出た涙を指で掬いながら、彼は遠く、国の中心部をじっと見た。
「………何を…」
「あれ、皆まで言わないと分からないかい?
ボクだよ。皇帝、ルイヴェルド"兄上"を殺したのは。」
「……な…………あ、貴方は…貴方は、分かっているのですか……?実の兄を殺したと仰っているのですよ?」
「ああ、そうさ。親愛なる兄王様を、ボクが殺した。とても面白かったよ。ボクを見た途端、恐怖に駆られた表情を浮かべてさ。
つい、殺すのを忘れてしまってねぇ?」
ニタリ、とその時の光景を思い浮かべながら彼は笑った。
「________ッッ!!貴様!!」
先程までは警戒しつつも、慈悲も含んでいた彼女の表情や声色はシュルトのニヤけた狂気の笑みを見て一転した。
怒りと、憎悪しかなかった。
「あっはは!君は"欲"にあまり囚われないよねぇ。アケディア。」
「……ああそうだ。私は"欲"に使えるのではなく陛下に使えると決めた…」
「だから弱いんだよなぁ〜…ま、いいか。さっさとお前殺して"兄さん"達の援護しなきゃだし……クソ雑魚が相手で助かりました〜ってね?」
「……来い…陛下を……陛下を殺した貴様を逃すものか!!」
ここでもまた、戦いが始まった。
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