第2章 魔界

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「この魔界を滅ぼすんですか?」 「ああ勿論。」 「無意味だとは、思いませんか?」 「無意味?どうして?」 「貴方方の話は聞いています。天界に作られた兵器、だと」 「……そうかい。ならわかるはずだ。本能には抗えないタチなんだよ。君達と同じでね」 「_____っ!ベートさん!!」 「……ッ!」 一瞬だった。トラオムがベートの片腕を"取った"のだ。 「はっ、ハハハッ……ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ喋ってばかりじゃダメだろ…?俺達はここをぶっ潰しに来たんだ!!」 「……………………」 「ベートさん…彼、匂いが違います。まともに戦うのは駄目です。」 「…」 ヴァヴがベートに小声でそう伝えると、ベートはトラオムをじっと見た後、まだ崩れていない街の方に逃げていった。 「兄ちゃん、俺アイツ追う」 「わかったよ。十分気をつけてね。」 「ん…」 トラオムは兄の許可を得ると、そそくさとベートを追って、建物の影に消えていった。 「さ、あっちはあっちでやるだろうし、僕達も始めようか。」 ニッコリと微笑んでヴァヴを戦いへと誘う。 天使のような笑みに宝石のような美青年。 戦いの誘いでなければ頷くを得ないのだが… 「………(彼はなんだ…?かなり強力な魔力を持ってるし、それに…)」 ヴァヴはクラヴィスの匂いの異常に気付く。 あまりにも強すぎる魔力の質に量… ……それに、だんだん膨張している…? 「___(トーン)」 「(クラフト)!(何今の…?!音の振動で"空間を斬った"?!)」 クラヴィスの魔法、(トーン)の発動にギリギリで気付いたヴァヴは反射で魔法の方向を自身の"腕"で変えた。 どちらも普通とは言い難い。 空間すらも切り裂く音の風。それを受け流す腕…… 「(……外した?いや、逸らしたのか……腕で?……もしかして…)」 「(空間を切り裂く音…こんな使い手魔界にも天界にもいない…!)」 互いに分が悪い。と思っている。 これでは消耗戦になってしまう…のだが… 「……(トーン)」 「!…(クラフト)!!」 同じ手を使う。 単純な音の魔法と、単純な力の魔法… しかしその精度は並ではない。どれだけ単純で初歩的な魔法だとしても、到達するのに才が必要な領域の、高度なもの。 魔力の消費も激しい……のにも関わらず、彼等はそれを何回も繰り返す。 「……このままじゃ消耗戦になるよ。いいのかい?」 「…あまり良くないですね…これじゃああの方に怒られます」 「あはは、じゃあそろそろ本気でやるかい?」 「勿論。____解放(ベフライウング)」 「それは……成程…」 先程のトラオムと同じモノ。かなり強力なものだ。 「さっきの彼、あなたとは匂いが違いました。吸血鬼は特有の匂いがするので判断しやすいのですが、彼は違いますね。僕達にも近いし、あちらにも近い。 "彼は本物の作り物ですね?"」 最後の一言、その一言を聞いてクラヴィスは硬直した。しかしそれは一瞬で、直ぐに我を取り戻したのだが… 「_____流石は暴食…匂いだけでそこまでたどり着くとはね…ここに兄さんがいなくて良かった。」 その顔は笑顔だった。声色もいつも通り優しかったはず。 「…」 ヴァヴは感じ取った。否、感じ取ってしまった。 彼の怒りを。 「はははっ…あー、いや、これはダメだな。キミを八つ裂きにしないと気が済まないよ。」 彼等の愛というものの形を
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