第2章 魔界

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「ふんふふんふ〜ん♪」 「ヘッタクソだな」 「酷い!この大天才の歌がヘタとか!」 「ルナ様の場合爆発ではなく歌声で国を吹っ飛ばせますよぉ」 「リューゲまで?!てかそんなに?!」 他の国で交戦しているなか、第59国は既に堕ちていた。 「……しかし来ねぇな。捨てたか?」 「可能性は無きにしも非ず、と言ったところですかねぇ」 「うーーーん他のところは来てるみたいだけど?」 目的の襲撃がなく、無気力にフラフラするトートに、無空間から肩までを出してくつろいでいる様子のリューゲ。 そして高台から遠くの国から沸き立っている硝煙を確認しているルナ。 ルベルとクラヴィスが予想していた時刻からかなり経った。これはもう来ないのか、と3人は諦めていた。 「みたいだな。来ねぇならさっさとアイツらのところに……」 「加勢にいくつもりか?」 トートが2人に移動する提案を持ち掛けようとした途中だった。 頭上から声。少し高めの、少年の声。 声の方に見上げれば、姿も声の質を裏切らない少年の姿… 「…………はは、こいつはとんだサプライズだな」 「と、トト兄…アレって……」 「ああ、俺達には荷が重いってのクソ兄貴。リューゲ、絶対に出てくんなよ」 「…承知しました。」 ビリビリと、肌で感じられるほどのプレッシャー。 先程まで平然と国を壊していた2人も表情が強ばる。 「…ふん、その様子じゃあ、オレ様の事は分かっているらしいな」 「まぁな。だが、会いたくはなかったな。 傲慢の大罪、プライド。」 「アレフと呼べ。それ以外で呼ぶ事は許さん。」 「あーそーかい。プライドさんよ。」 アレフの忠告を無視して、トートは彼の正式名称で呼んだ。 すると、自分の言ったことを無視されたことに腹を立てたアレフが彼を睨みつける。 「………貴様…」 「……………アレフ、落ち着いて…ください……」 「…落ち着いてる。だからその顔をやめろ。子供を憐れむような目で見るのはやめろ!!お前から殺すぞ!!!」 ギメルは哀れんだ。アレフの風貌と言動を。 「………」 「…………」 吸血鬼と人間も哀れんだ。ギメルと同様。 「貴様ら吸血鬼もだ!!なんなんだその微妙な顔は!!」 「傲慢って聞いてたから血も涙もないって感じのやつかと思ったけど」 「やめてやれルナ、それ以上は言わないでやれ。」 「癇癪持ちのガキンチョじゃん!」 「言いましたねぇ、この人ぉ…」 流石に口を閉じているのを耐えきれなかったリューゲはルナに苦笑いを送る。 そして、ルナからガキンチョ評価を頂いたアレフはより腹を立てた。 当たり前だ。 「が、ガキだと……?!貴様ァ!!ギメル!!あの女の形の奴はオレ様が仕留める!お前はアレを殺せ!!!」 「……わかりました………これ以上…アレフの機嫌を損ねるのは………嫌…なので………」 「よくオレ様の前でそんなこと言えるな」
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