第2章 魔界

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「これが私の初恋なんて、認めたくありません!!」 顔を赤らめて、初々しく手が隠れるほど長い服の袖で顔を隠す。 まさに恋する初心な乙女の仕草。 「___________________」 ルストは目の前の乙女をただ見つめていた。 言葉を失って、ただ、見つめていた。 「……君、君の名前を、"僕に"教えてくれ」 それから言葉を発したと思えば、クレーベルへゆっくりと近付きながらそう言った。 「……さっきお伝えしたでしょう。」 「それはルクスリアにだろう?僕に、君の口から教えて欲しいんだ」 クレーベルは顔の熱をおさめて、顔と同じく冷めた目でルストを見る。が、ルストは必死に彼女の言葉を乞う。 「ちょっと、近付かないでください…!っ…!(追い込まれた…?!)」 クレーベルの背後は本棚。もうルストとの距離が数センチまで迫っている… 「…ねぇ、教えて?君の名前を」 追い込んだ少女を、ルストは逃がさないように両腕で囲った。 ……いわゆる、壁ドン。 「……く、クレーベル…です……」 「…うん……じゃあ、クレーベル、僕の名前を呼んで」 「は?何言って…」 「ルスト。さぁ、呼んで。確かめたいんだ。」 何か様子がおかしい。元々好戦的でも、彼女に対しての殺意も一切持ち合わせていなかったのだが、それにしても今の状態はなんだ。 敵意どころか好意を感じる。クレーベルは訳が分からないまま、彼に従った。 「……ルスト…?」 「……あ、あぁ…うん、そうだよ。僕だよ、クレーベル。やっと…やっと見つけたよ…僕の愛するべき人…」 「?!……な、なにを言っているのですか!」 「どうして忘れていたんだろうね?僕はあの時決めたのに…さっきまで全然気が付かなかった。どうかこんな最低な僕を許してくれ、クレーベル。……いや………」 彼はクレーベルの本当の名を口にする前に 彼女の唇にキスをした。
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