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「これが私の初恋なんて、認めたくありません!!」
顔を赤らめて、初々しく手が隠れるほど長い服の袖で顔を隠す。
まさに恋する初心な乙女の仕草。
「___________________」
ルストは目の前の乙女をただ見つめていた。
言葉を失って、ただ、見つめていた。
「……君、君の名前を、"僕に"教えてくれ」
それから言葉を発したと思えば、クレーベルへゆっくりと近付きながらそう言った。
「……さっきお伝えしたでしょう。」
「それはルクスリアにだろう?僕に、君の口から教えて欲しいんだ」
クレーベルは顔の熱をおさめて、顔と同じく冷めた目でルストを見る。が、ルストは必死に彼女の言葉を乞う。
「ちょっと、近付かないでください…!っ…!(追い込まれた…?!)」
クレーベルの背後は本棚。もうルストとの距離が数センチまで迫っている…
「…ねぇ、教えて?君の名前を」
追い込んだ少女を、ルストは逃がさないように両腕で囲った。
……いわゆる、壁ドン。
「……く、クレーベル…です……」
「…うん……じゃあ、クレーベル、僕の名前を呼んで」
「は?何言って…」
「ルスト。さぁ、呼んで。確かめたいんだ。」
何か様子がおかしい。元々好戦的でも、彼女に対しての殺意も一切持ち合わせていなかったのだが、それにしても今の状態はなんだ。
敵意どころか好意を感じる。クレーベルは訳が分からないまま、彼に従った。
「……ルスト…?」
「……あ、あぁ…うん、そうだよ。僕だよ、クレーベル。やっと…やっと見つけたよ…僕の愛するべき人…」
「?!……な、なにを言っているのですか!」
「どうして忘れていたんだろうね?僕はあの時決めたのに…さっきまで全然気が付かなかった。どうかこんな最低な僕を許してくれ、クレーベル。……いや………」
彼はクレーベルの本当の名を口にする前に
彼女の唇にキスをした。
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