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話は平行移動をして、クラヴィスとリューゲはキッチンにいた。
「さてさてぇクラヴィス様、何からお話致しましょうかぁ」
紅茶を入れ終えたリューゲは藪から棒にクラヴィスに意見を求めた。…紅茶は、苦いものが苦手な彼への配慮なのか彼のはミルクティーになっている。
「……今の三界についてかな。」
「ふふ、えぇいいでしょう。では、まずは天界からですかねぇ」
リューゲは答えに対して不安がりながらも快く対応する。
「まぁ、あまりこれと言って変化は見当らないご様子……ただ、"研究"の方は少々動きを見せ始めたようですよ」
「…」
研究、という一言を聞いたクラヴィスはティーカップに掛けようとした手をピタリと止めた。
「懲りないね、彼等も。」
「全くですねぇ。それについてはまたなにか分かったら報告致します。えっーと魔界の方ですがぁ、実はこちらはビッグニュースが入りましてぇ」
天界についての話を早々に片付けてしまったリューゲは、待ち望んでいたかのように魔界の話をし始めた。
「どうやら、皇帝陛下が亡くなられたようでぇ」
「…皇帝が?」
魔界はとても広い。土地を支配する国、すなわち王がいて、さらにそれらをまとめる皇帝がいる。……たしかまだ若かったような…とクラヴィスは頭にある知識を引っ張り出す。
「死因は魔法による衝撃死ってところですかねぇ」
魔法…?…とクラヴィスは考える。リューゲがハッキリとものを言わないことはいつもの事だが魔法を使ったならば魔力痕が残り、犯人など簡単に見つかる。魔法や魔術に長けている魔界ならば尚更だ。
「…微かな魔力痕も残ってなかったか…恐ろしいね…」
「よっぽどの手練ですねぇ、これは。」
暗殺者に感心を持つ2人。しかし、それは本当に一瞬のことで、クラヴィスは直ぐに自分達の話をし始めた。
「とはいえ魔界の方にチャンスが巡ってきたね。新皇帝が即位する前にいくつかの国を潰したい。
天界は……ルナに相談しよう。そろそろ頼んでいたものができているはずだし…
魔界の方もそれで行ってみよう。」
皇帝とは存在が重要である。理由は知らないが、そこにその称号を持った人がいるだけで纏まり、志を共にすることが出来る。つまりは、皇帝がいない今、いくつかの戦力を潰す他ない。
何せ魔界は広いのだ。戦力だって無数で未知数だ。
だから少しずつ、確実に奴らを殺していく。
7人で。
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