婚活パーティー

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「彼女達が興味あるのは俺じゃなくて、金ですから。もしご迷惑でなかったら、もう少しお話してくれませんか?」 「嬉しいです」 千夏はにっこり笑った。 それからふたりは、時が来るまで会話を楽しんだ。 時間になるとスタッフが紙とボールペンを配り歩く。峻也は千夏の名前を第1希望に書き、それ以外は空欄のまま、スタッフに渡した。 「えー、皆様いかがお過ごしでしょうか? 先程回収し終えましたので、今からスタッフがカップルになった方々を探し、カップル成立が分かり次第、こっそり伝えます。それまでは会話をお楽しみください」 司会の言葉に、誰もがそわそわしだす。 千夏を見れば、落ち着かない様子だ。 (さすがに「第1希望は誰にしたんですか?」なんて聞くわけにもいかないしな……) 「このパーティーで、どれくらいのカップルができるんでしょうね?」 峻也なりに会話を続けようと、聞きたいことに近しい質問をする。 「皆さん、良いご縁があるといいですね」 スタッフに声をかけられ、嬉しそうにする男女を見ながら、千夏は微笑ましそうに言う。 どう言葉を返そうか悩んでいると、スタッフが小走りでふたりの元へ来た。 「ちょうどおふたり様お揃いですね。里崎峻也さん、本間千夏さん、カップル成立です! おめでとうございます」 「ありがとうございます。本間さんが俺の名前を書いてくれてたなんて、嬉しいです」 「私も、嬉しいです。これからよろしくお願いします」 そう言って微笑む千夏の顔に、峻也は仄暗い何かを感じ取った。気になりはしたが、喜びがそれを上回り、小さな不安を塗りつぶしてしまった。 「では向こうで、連絡先の交換をどうぞ」 スタッフが示す先には小さな丸テーブルがいくつか並んでいて、すでに数組のカップルが和気あいあいと連絡先を交換している。 「行きましょうか」 「はい」 ふたりは並び歩いて丸テーブルへ行く。丸テーブルの上には、小さなカゴに入った白紙の紙と、数本のボールペンが転がっている。
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