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千夏は紙を1枚取ると、何かを書き始めた。
(赤外線通信や口頭じゃダメなのか?)
そんな疑問を抱きつつも、峻也も紙に自分の携帯番号とメールアドレスを書いた。
「これが私の連絡先です」
千夏が差し出した紙には丸みのある可愛らしい文字で、電話番号とメールアドレス、LINEIDが書かれている。
「ありがとうございます。俺の連絡先です」
峻也も紙を渡すと、千夏は嬉しそうにそれを見る。
「よかったらお送りしますよ」
「お気持ちは嬉しいですが、今から夜景の撮影に行くので……」
千夏は申し訳なさそうに眉尻を下げる。
「いえ、急な申し出ですからね、気にしないでください。夜は危ないですから、お気をつけて」
「ありがとうございます。後で連絡しますね」
千夏はにこやかに一礼すると、会場を後にした。
なんとなくすぐに出ていくのをためらった峻也は、貰ったばかりの連絡先をスマホに登録してから、会場を出た。
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