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初めての、1・2年生だけの大会。
私は、自分の種目である800mと1500mを早々に終えて。
残りの時間は、他の部員の応援だったり記録等マネージャー業務だったりに徹した。
新人戦は、3年生がいないうえに入賞枠がいつもより広いから、比較的入賞しやすかった。
私も800mでは無事にベスト8に残って、入賞を顧問の先生にプレゼントできた。
日が傾いてきた頃。
リレーはいつも、大会の日の最後の種目だ。
リレーの時は、普段は固まって行っている応援も、1走・2走・3走・4走のスタート地点に分散させるのが、部内で暗黙のルールになっていた。
「あ、俺1走のとこ行ってきます。」
「私達3走のところ行きまーす。」
部員達は、思い思いに声を上げて。
その日も、リレーが始まる頃に分かれ始めた。
チームプレイはしなくても、何故かチームワークがいいのは陸上部の不思議なところだ。
私は瑞香とひより先輩と一緒に、1走のスタート地点兼4走のゴール地点の応援担当となる。
「え。まって、2走のとこ誰も行ってなくない? 」
ひより先輩が、ふとそう言った。
「....たしかに。」
「え、いないよね? 2走のとこに、うちのジャージいないよね? 」
私たちの学校は、くすんだ赤のジャージだった。
2走のスタート地点に目を凝らしても、それらしき色は見かけない。
「雛、ごめんだけど、2走のところ行ってもらってもいい? 」
「えっ。1人ですか? 」
「うん。私と瑞香、次の女子のリレー出なきゃだからさ。男子の応援したら、すぐ行かなきゃ。2走のところまで行っちゃうと、遅れちゃうかもしれないから。」
確かに、2走のスタートラインはリレー選手の集合場所から少し離れていた。それに比べ、今の場所は集合場所まですぐ行ける。
リレーに出場しない私が、2走側の応援に行くのは最適だ。
「わかりました。いってきます。」
「1人で行かせてごめんね。よろしく。」
ひより先輩に頼まれ、私は2走のスタートラインへ向かった。
ん?
何気なく、先輩に言われたから引き受けたけど。
2走って、孝介先輩じゃなかった?
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