リスクの先

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部屋へ帰ると、無気力だったサトミがまた泣き始めた。 馬場は 「泣くんじゃない…」 「泣くんじゃない…」 と慰めるが、自らは怒りで震えている。 馬場に沸き起こる【怒り】の感情。 それは自らの無力さからくるのか… サトミの情けない心からくるのか… 主催者への恨みからくるのか… 渦巻くようなどす黒い感情が馬場にも目覚めはじめていた。 薄く少ない髪を掴み、ボリボリと頭を掻く馬場。 紅くなった顔は、まるでゆでタコのようだ。 「フー」 「フー」 自分を落ち着かせようと両腕を開いたり閉じたりして深呼吸をしている。 そうしないと、抑えつけている理性が吹っ飛びそうなのだ。 「うおー!!」 努力のかいなく我慢の限界がきた馬場は、急に部屋をとび出した。 サトミは、うずくまっていたが玄関のドアが開いて閉じる音を聞き、自分がまた取り残されたことに気づく。 「待って…」 「待って…」 立ち上がる力もないサトミは、ほふく前進で玄関までいくが、力ついてその場で泣き崩れた。 泣いてばかりのサトミはこうしてまた【一人ぼっち】になった。 馬場は自分の部屋に戻ってきた。 「ユウコ」 「ユウコ!」 妻を必死で探す。 「どうしたんですか?」     
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