1

12/20
前へ
/34ページ
次へ
そして3回戦目。 「仕方ないなぁ~。このまま俺がベットせずに勝ってもつまんないし?」 圭がニヤニヤしながら僕を見ている。 いいカードでも出たんだろう。交換する気も無さそうだ。 僕は背中に流れる汗が止まらなくて、耳のそばで音を鳴らす自分の鼓動がうるさくて手が震えていた。 こんな緊張感でポーカーなんてしたこと無かった。 「2枚ベットしようかな~。」 圭がクスクス笑いながら場に200円追加した。 こんな少額の賭け金でかつてこんなに緊張するゲームがあっただろうか。 圭は僕を見た。 固まった僕の表情に勝ちを確信していた。 そして僕は。 「コール。」 その場に残りの2枚を賭けた。 バンっと圭がその場にカードを投げつける。 「フォーカード。ケツ洗ってきな。」 紅い唇が弧を描いた。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

232人が本棚に入れています
本棚に追加