となりのきみ

1/16
前へ
/16ページ
次へ

となりのきみ

小さい頃から、私の隣にはユキちゃんが居る。 私とユキちゃんはいつも一緒だ。 辛い時も悲しい時も、嬉しい時も楽しい時も、ずっと二人で過ごしてきた。 ユキちゃんは優しくて素敵な女の子で、特に笑うととっても可愛い。 でもその姿は、私以外には見えないらしい。 昔、ママにユキちゃんのことを話したら、「おかしなことを言うのはやめなさい」と怒られた。 だからそれからは、ママにユキちゃんのことを話していない。 だけどクラスの子に話してしまったことは、何度もあった。 みんな、「そんな子居ないよ」「怖いこと言わないで」と言って、私から遠ざかっていった。 誰も、信じてくれなかった。 そしていつの間にか、私はみんなから「頭のおかしい子」と言われるようになっていた。 それは悲しいことだったけれど、でも平気だ。 私にはユキちゃんが居るから。 だからもう周りの人に分かってもらわなくてもいい。 ユキちゃんさえ居てくれれば、それでいい。 いつからか、そう思うようになっていた。 それなのに……。 どうしてあの子には話してしまったのだろう。 自分でもよく分からない。 「私の隣にはね、いつもユキちゃんって子が居るの」     
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加