となりのきみ

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いつも迷惑掛けてばかり。 「奈々ちゃん、先に帰っていいよ。私を待ってると遅くなっちゃうでしょ」 夕日がさっき見た時よりも低くなっていることに気付いて、そう言った。 しかし奈々ちゃんはそれを聞いても、特に大きな反応は示さなかった。 「いいよ。宇美、一人だといつになっても終わんないでしょ」 あまり考えた様子もなく、私の机の上にあったペンを触りながら、何気なく返してくる。 けれども私はその言葉に、過敏に反応していた。 「一人じゃないよ」 強い口調でそう否定して、チラリと横を見る。 私の左側、窓際には今もユキちゃんが立っている。 今だって、ちゃんとユキちゃんは私の隣に居るんだ。 だから、私は一人じゃない。 例え奈々ちゃんが居なくなったとしても、一人にはならない。 「うん、それは分かってるけど、ユキちゃん勉強は教えてくれないんでしょ?だから、私が帰ったら宇美一人で解かなきゃいけないって意味」 奈々ちゃんは私のペンを弄ぶのをやめ、丁寧にそう説明してくれた。 私はそれを聞いて少し恥ずかしくなる。 なんだか私の中の弱い心を見透かされたようだった。 「あ、そっか。うん、そうだね」 はぐらかすようにヘラヘラ笑って、頷いた。 そして、プリントに戻ろうとする。     
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