1話

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僕は由貴子叔母さんが脱ぎ散らかした香水臭い衣類を洗濯機に入れていた。 うんざりもしていたかも知れない。 不特定多数のお客さんとイカガワシイ事をしてお金を稼ぐ彼女を汚れた女とは思わない。 職に貴賤はないし、お金を稼ぐって綺麗事じゃないと思う。 でも、さすがに脱いだ衣類を散らかして全裸で寝るのはどうかと思うんだ。 何度申し入れても 「服着てると寝れない。なーに?私でムラムラする?筆下ろししたいのかな~?」 と余裕で躱される。 叔母さんは綺麗だ。 まだ30代前半で、お客さんが常に居るくらいだからそりゃ綺麗に決まってる。 いや、それは別の話でどうでも良いんだけど。 白い肌が脳裏にチラつくのは健全な男として仕方ないんだ。多分。 「ん?今…揺れた?地震かなぁ?」 地震大国日本だし、多少の揺れなら気にも留めない。 それより学校の支度をしなくちゃいけない。 適当にパンとコーヒーで済ませて、寝ている叔母さんにタオルケットを掛けて出た。 正直たまらないモノを見てしまって、前かがみ気味に登校するハメになったのは内緒だ。 いつもの風景、いつもの人込み。 隣で朗らかに笑いかけてくれるような幼馴染や突然肩を組んでくるような悪友もいない。     
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