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第弐話 諸行無常
県立総合文化技術教育学校。
それが僕らの通う学校だ。
……いや、正確には、〝通っていた〟だけど。
総合文化技教育学校、略して〝ブンギ〟は、もともとあったいくつかの公立高校が合併し、更に周辺の中学も吸収してできた。僕が小学校に上がるころに統合が始まり、卒業する頃には、いつの間にやら地域で一番のマンモス校になっていた。
合併もとには農業高校や工業高校もあったし、当時地域で二番手の進学校も含まれていたから、生徒は多様だ。実家の農業を継ぐために農業を学ぶ子もいるし、大学進学が当然、というクラスもある。
一応、他にも選択肢はあるけれど、僕らの住む地域の三分の一は、当たり前のようにブンギに進学するから、比較的知り合いが多い、というのは、入学当時は心強かった。
まあ、陽子様にはそんなこと関係なさそうだったけど。
陽子様、要陽子とは、保育園からの付き合いだ。
当時からモテたし、小学校ではファンクラブもできた。
立ち居振る舞いも優雅で、男女問わず人気者、先生からの信頼も厚い。
でも、僕は知っている。
彼女の目標はミスコンなんかじゃない。
内閣総理大臣だってことを。
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