第弐話 諸行無常

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ

第弐話 諸行無常

  県立総合文化技術教育学校。  それが僕らの通う学校だ。  ……いや、正確には、〝通っていた〟だけど。  総合文化技教育学校、略して〝ブンギ〟は、もともとあったいくつかの公立高校が合併し、更に周辺の中学も吸収してできた。僕が小学校に上がるころに統合が始まり、卒業する頃には、いつの間にやら地域で一番のマンモス校になっていた。  合併もとには農業高校や工業高校もあったし、当時地域で二番手の進学校も含まれていたから、生徒は多様だ。実家の農業を継ぐために農業を学ぶ子もいるし、大学進学が当然、というクラスもある。  一応、他にも選択肢はあるけれど、僕らの住む地域の三分の一は、当たり前のようにブンギに進学するから、比較的知り合いが多い、というのは、入学当時は心強かった。  まあ、陽子様にはそんなこと関係なさそうだったけど。  陽子様、要陽子とは、保育園からの付き合いだ。  当時からモテたし、小学校ではファンクラブもできた。  立ち居振る舞いも優雅で、男女問わず人気者、先生からの信頼も厚い。  でも、僕は知っている。  彼女の目標はミスコンなんかじゃない。  内閣総理大臣だってことを。     
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!