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「クソッタレ! 何なんだ、こいつの硬さはっ!」
「悪いがそれだけが取り柄なんでな」
爪は深く盾に食い込み、アモンが離れようとしたが、すぐには引き抜けなかった。
タイサは爪が食い込んだ盾ごと体を回しながら地面から足を離す。アモンはタイサの体重を支えることができずに引き込まれ、遅れるように横に回転、タイサと共に地面に転がった。
「これだけ密接していれば避けきれまい」
タイサは転がったまま相手の片腕を固定すると踵を上げ、アモンの胸に垂直に落とし込んだ。
「がっ、はぁっ!」
金属でできたタイサのグリーブが何もつけていないアモンの胸に食い込む。寝たままでの攻撃で決め手には欠けたが、相手の呼吸を一時的に止めるくらいにはなった。
だがタイサはすぐに盾を手放し、アモンから距離をとる。
直後、アモンの両手から黒の混ざった炎が漏れ出し、騎士の大盾を侵食し溶かし始めた。
アモンは咳き込みながら呼吸を落ち着かせると口元を拭った。
「さすがにうちの大将とやり合っただけはあるぜ。危うく味見で怪我をするところだった」
アモンは赤黒い炎を爪に纏わせて立ち上がると、両手を少し広げながら、いつでも飛び込めるよう体を前に傾ける。
「さぁ、燃えてもまだ生きていられるかな?」
アモンのつま先の指が曲がり、土を掴んだ。
「そこまでだ」
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