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「は、はい! これからは俺の傍にいてください!」
胸を張って空を向き、大きな声を出したタイサの言葉に今度はエコーが顔を赤くした。
「隊長! こ、こんな時に何てこと言うんですか!?」
「うおぉぉい! どうすりゃいいんだぁぁ!」
どうしてそう捉えられてしまったのか。意図しない形で伝わってしまったタイサは、両手で顔を隠して首を左右に振る。
「ひっ、ひはははは! もう最高に面白すぎるぅ! 2人とも最高ですよ! だ、駄目だ、腹が痛い………弾けるぅぅぅ!」
ボーマが馬車の上で顔よりも飛び出た腹を抱えて転がっていた。我慢できずに両足を上下に振り、呼吸を整えようと必死に落ち着こうとする。
「うおっほん!」
その時、タイサ達に大きな砂埃が舞い上がった。髪もなびくほどに強い風と舞い上がった小石と砂が3人に襲い掛かる。
そこで3人はようやく自分達が立っている場所を思い出す。
そして視線が白黒メイド服のシドリーに集まった。
彼女は顎にしわをつくるように口を閉じ、眉間にもしわを寄せて目をつぶり、黙って腕を組んでいた。
彼女の右足の地面が窪んでいる。
「そろそろ、こちらの話をしても良いだろうか?」
「「「あ、はい………」」」
タイサ達は小さく頷いた。
シドリーは組んだ腕を解くと、右手の親指を立てて後ろ、やや上を指さす。
「城壁にいる彼女は、貴様の知り合いか何かか?」
タイサがシドリーの指す方向を見上げると、門の上の城壁でタネガシマを構えているカエデの姿があった。カエデの隣では元の持ち主のゴブリンが返して欲しそうに泣いているが、カエデはそれを無視し続けている。
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