第三章

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「結果として、戦後の我々は技術と経済に力を注いでいきました。その恩恵は王国を潤わせ、戦争の傷跡も予想よりも早く復興していきました」  だが、5年、10年と経つ内にある問題が生まれたのだった。 「人間よりも魔物の方が優れているということに、お互いが気付いてしまったのです」  どんなに力があっても、特別な能力があっても、文明の差から人間は優位を保ってきた。だが、同じ生活水準となった時、力を持つ魔物の方が生まれながらにして優れていることになった。  当時の人間からすれば努力しても埋められない差は、さぞかし不公平に感じたことだろう。 「気が付けば、王国の経済、技術等において多くの魔物が主要な位置を占めるようになっていきました」 「それを人間達は驚異に思い始めた………」  何故魔物達が人間に恨みをもつようになったのか。タイサは理解できた。  つまり人間は魔物を差別し、迫害することで自分達の場所を確保しようとしたのである。  イベロスはその通りだと頷き、ついに人間と魔物が争いに発展する内戦に突入したと語る。 「だが、戦いになれば魔物の方が強いのでは? 何故負けたのですか?」 「負けちゃぁいねぇ。こっちから手を引いてやったんだよ」  アモンがタイサの問いに噛みついた。 「アモン」「わーってるよ。もう少し我慢するさ」  眼鏡の奥で目を細めるイベロスに諭されると、彼は両手を広げて首を振り、近くにあった椅子を引き寄せて逆向きに座り込む。 「まぁ、彼の言っていることは概ね合っています。各部族長と話し合い、我々は王国を去ることを決断したのです」  そして東の山脈を越えた場所に新天地を求め、今の国ができたのだという。
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