第四章

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 だが、中々タイサから言葉が出て来ない。 「隊長?」「すまん、今何て言えば良い言葉になるかを考えている………ぎゃぁぁぁ」  エコーは恥ずかしさを通り越して、全力でタイサの頭を絞める。 「どこまで不器用なんですか!? もう、単語で良いですから! 文章とかいりませんから、一言で簡潔にお願いします!」 「わ…分かった! 分かったから!」  僅かに力が緩み、タイサはエコーの胸の中で小さく咳ばらいをすると口を開けた。 「あ、愛してる?」  再びタイサの頭が絞められた。タイサの頭の中で何かが軋む音が聞こえてくる。 「何で疑問形なんですか! もう、これが普通の女性だったら終わってますよ!? あぁ、もう、絶対に『はい』って答えますから、もう1回言ってください!」  エコーの力が弱まる。 「………愛している。エコー、俺にはお前が必要だ。これからも一緒にいて欲しい」 「はい。それでいいんです」  エコーがようやく聞けたとタイサを抱きしめる。タイサも胸のつかえが取れたのか、力が抜けている。  2人はようやく起き上がると、エコーは手すりを背もたれに座るタイサの前に座った。タイサも何も言わずに彼女を迎え包むように両足を広げた。 「しかし、こんな形で良いのか?」 「何言ってるんですか? あそこまでしないと隊長は一生言わないですよ?」  タイサは何も言えなかった。 「隊長、次はチューですからね」「うぐぅ」  エコーが自分の指を口に当てて音を立てる。  タイサは耳を赤くしながら顎にしわを寄せた。 「さぁて、どうやってそこまで運んでいこうかなぁ」  エコーは満面の笑みで楽しそうに時間を過ごしている。  タイサは彼女の後姿を覗きながら、全てに感謝していた。自分の迷いを洗い流し、自分の性格を分かった上で、一緒にいてくれる女性が目の前にいる。  その安心感と、彼女を守ろうとする沸いてくる気持ちを愛と呼ぶのだろう。タイサは情けなくも、ようやく全てを理解した。 「エコー。俺なりに考えた案ができたんだが………聞いてくれるか?」 「全くここで、仕事の話ですか? 本当に不器用ですね………いいですよ、聞かせてください、隊長」  困った顔で口を尖らせたエコーが振り向き、しかしすぐに笑顔で答えてくれる。  タイサは済まないと謝りつつも、話を続けた。  その日は何時まで起きていたか覚えていない。
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