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だが、中々タイサから言葉が出て来ない。
「隊長?」「すまん、今何て言えば良い言葉になるかを考えている………ぎゃぁぁぁ」
エコーは恥ずかしさを通り越して、全力でタイサの頭を絞める。
「どこまで不器用なんですか!? もう、単語で良いですから! 文章とかいりませんから、一言で簡潔にお願いします!」
「わ…分かった! 分かったから!」
僅かに力が緩み、タイサはエコーの胸の中で小さく咳ばらいをすると口を開けた。
「あ、愛してる?」
再びタイサの頭が絞められた。タイサの頭の中で何かが軋む音が聞こえてくる。
「何で疑問形なんですか! もう、これが普通の女性だったら終わってますよ!? あぁ、もう、絶対に『はい』って答えますから、もう1回言ってください!」
エコーの力が弱まる。
「………愛している。エコー、俺にはお前が必要だ。これからも一緒にいて欲しい」
「はい。それでいいんです」
エコーがようやく聞けたとタイサを抱きしめる。タイサも胸のつかえが取れたのか、力が抜けている。
2人はようやく起き上がると、エコーは手すりを背もたれに座るタイサの前に座った。タイサも何も言わずに彼女を迎え包むように両足を広げた。
「しかし、こんな形で良いのか?」
「何言ってるんですか? あそこまでしないと隊長は一生言わないですよ?」
タイサは何も言えなかった。
「隊長、次はチューですからね」「うぐぅ」
エコーが自分の指を口に当てて音を立てる。
タイサは耳を赤くしながら顎にしわを寄せた。
「さぁて、どうやってそこまで運んでいこうかなぁ」
エコーは満面の笑みで楽しそうに時間を過ごしている。
タイサは彼女の後姿を覗きながら、全てに感謝していた。自分の迷いを洗い流し、自分の性格を分かった上で、一緒にいてくれる女性が目の前にいる。
その安心感と、彼女を守ろうとする沸いてくる気持ちを愛と呼ぶのだろう。タイサは情けなくも、ようやく全てを理解した。
「エコー。俺なりに考えた案ができたんだが………聞いてくれるか?」
「全くここで、仕事の話ですか? 本当に不器用ですね………いいですよ、聞かせてください、隊長」
困った顔で口を尖らせたエコーが振り向き、しかしすぐに笑顔で答えてくれる。
タイサは済まないと謝りつつも、話を続けた。
その日は何時まで起きていたか覚えていない。
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