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翌朝、干し肉と水を腹に入れたタイサ達は再び馬車を走らせ始める。
そして30分もしないうちに、上空にバードマンらしき羽の影が曇りかけた空の上を旋回していることに気がつく。
予想通りに魔王軍に補足された。白い雲との間で動く黒い影が最後にもう1度回ると、馬車の進む方向と同じ道を進んでいった。
「どうやら見つかったようですね。恐らく街まで報告に向かったんでしょうや」
ボーマが空を覗くのを止めて前を向き直す。
だがタイサは特に驚くこともなく、荷馬車の中に積んできた装備の入った木箱に手を入れた。
「今さら驚くこともないだろう。せいぜい穏便に出迎えてくれることを祈っておこう」
そして箱の中から自分のグリーブを取り出すと、タイサは片足を上げて足に通す。
「各自、戦闘準備だ。エコーは装備を整えたらボーマと手綱を代わってくれ」
「「了解」」
両足にグリーブを履いたタイサは王国騎士団の騎士が扱う物と同じ大盾を左手に、片手剣を腰のベルトに身に付る。そして黒剣を封じたランスを背中に背負った。
既に身に付けている呪いの鎧はブレイダスの街で手に取る前は反射を許さない漆黒の文様だったが、タイサが身に付けた途端に安価な鉄鎧と同じように曇った銀色の鎧に姿を変えている。
持ち主によって色を変えるのではないか。手に取った後に呟いたフォースィの声が頭の中に残っている。
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